江草乗の「大人の物欲写真日記」

江草乗のプライベートな日常日記です。

夏の日(その2) 

 その日は一日中、京都のいろんな場所をまわった。嵐山(保津川)でボ−トに乗ったし、イノダコ−ヒ−でおいしいコ−ヒ−をいただいた。Mが、「今日は何時頃に帰るのですか?」と訊いてきた。平日の夕方にクルマを走らせても通勤ラッシュにぶつかって時間がかかるだけである。それで私はこう答えた。
「どうせ道が混んでるから、夜遅くなってから帰るよ。それまでどこかで時間をつぶすよ。」
「それだったら、どうせ下宿に帰っても一人だし、遅くまで一緒にいてもいい?」
私に異存があるはずがなかった。私の予定は、「翌日の朝9:30からの職員会議」だけだったからだ。

 夜になって、空に花火が見えた。どこかで花火大会をやっているようだ。その方向に思わずクルマを走らせた。場所はすぐに「宝が池」と知れた。少し離れたところにクルマを停めて、大勢の人の中ではぐれないように私は自然とどさくさにまぎれてMの手を握っていた。手を握りたかったから人混みの場所を選んだと思われたかも知れない。ただ、そこまでの計略を思いつけるほど、当時の私は恋愛の達人ではなかった。頭上で炸裂する花火は大迫力だった。しかし考えてみれば、出会ったのも諏訪湖の花火大会だったし、はじめて手をつないだのも花火だった。

 花火が終わった時、随分夜も更けていた。それから葵橋のたもとの駐車場にクルマを停めて、鴨川べりを散歩した。鴨川べりと言えば、名物の等間隔カップルだが、加茂大橋のそばにもやはりカップルはたくさんいた。夏の夜である。厚かましくその中の一組となって、川の流れを見つめて、いろんな話をした。クルマのところに戻ってきた時に、私は愕然とする。キ−をつけたまま、ドアをロックしていたのだ。「いわゆるキーの閉じ込み」という失敗である。

( 〜その3に続く )