江草乗の「大人の物欲写真日記」

江草乗のプライベートな日常日記です。

昔書いた文章

 高校生の時、一時期自分は文芸部というところに所属して小説なんかを書いていた。その頃に書いたものは今から思うと稚拙すぎて恥ずかしくて読み返す勇気はない。ただ、その頃から何となく自分は「物書き」になりたいと思ったいたことはわかる。18歳で人生に絶望して文学部などというヤクザな道にはまりこんだのもきっとそのせいだ。結局の所自分は物書きになどならず、たまたまネットの片隅でこんな日記を綴り、ふだんは教師として生活の糧を得ている。
 ただ、あのころ書いた小説は自分にとって創作の原点であったことは確かだ。どんなに稚拙で情けない内容であったとしても。私が卒業した春に入学して文芸部に入った女子が、私の書いたものを読んで「逢いたい」と手紙をくれた。それはいわば、私のファン1号だったのである。彼女は私の影響かどうかはわからないが後に大学院に進んで研究者となる。私のような不真面目でろくに勉強しなかった人間とは違って、ちゃんと文学を自分の生活手段にしたのである。
 同じ文芸部に実は私よりももっといすばらしい書き手が居た。私は自分の書いた作品が遠く彼女に及ばないことをすぐに理解した。彼女は今、子育てに情熱を燃やすふつうのお母さんである。以前にメールをいただいたこともあるし、私の日記を読んでいるらしい。
 自分が書いた過去の文章は、人の目に触れる前にさっさとこの世から消滅させたい。そこにはあまりにも不細工な、未完成でカッコ悪い自分がいる。かつての恋人たちからもらったたくさんの手紙と一緒に、いつか成仏させようと思う。