友達のまま/プリンセス・プリンセス
きみはぼくの生徒だったんだ。森高千里みたいにかわいかった。髪がストレートで長くて、ほっそりとしていて。ぼくはわかっていたよ。きみがもっともっときれいになっていくことを確信していたよ。
ぼくたちが出会ったときに、きみには同じ年齢の彼氏が居て、一緒に登校する姿をたびたび見たよ。その後君はその彼氏と結婚したんだね。本当におめでとう。年賀状にはお子さんのかわいい写真もあったね。
ぼくはきみの担任になることはなかった。きみの一年上の学年の担任を持っていたから、授業で教えたのは高校3年の一年間だけだった。きみはものすごく熱心な生徒だったね。ぼくの教える科目でクラス一番になれるほどに。きみがどうして他の誰よりも熱心な生徒だったのか、ぼくにはわかっていたよ。ありがとう。ぼくがそのことでどれだけ嬉しかったか。
きみは病気で何日も休んだことがあったね。久しぶりに来たときにすっかり痩せていてぼくはびっくりしたよ。
そうそう、卒業してからたまたま街であって、クルマで家に送ってあげたことがあったっけ。そのときにきみはこう言ったね。
「もう一年早く生まれていれば、センセイの担任するクラスだったかも」「もう10年早く生まれてきたら・・・・」
もしもきみが10年早く生まれていて、ぼくと同級生だったら、きっと冴えない高校生だったぼくになんか見向きもしなかっただろうとぼくは思ったよ。
クルマの中でその時に流れた曲は、プリンセス・プリンセスの「友達のまま」だった。その曲が暗示したように、ぼくたちはお互いの気持ちに気づきながらも、最後までセンセイと生徒以上になることはなかったんだ。
言わないつもりの言葉をいつまで覚えてるの あなたの望んだ夢の隣にあの子がいた