緑の日々(その3)
初めての方は必ずその1(12/17の日記)からお読みください。
二人が入った部屋は、なんとバスル−ムがガラス張りで部屋から丸見えだった。私が心の中で「ラッキー」と大きく叫んだことは言うまでもない。彼女はシャワ−を浴びるときに、「いやじゃあないけど恥ずかしいの」と意味不明の発言をした。(どういう意味か、わかる女性は教えて欲しい。)そして、当然のことだが一度もこちらの方は向かなかった。私の方向に見せていたのは終始背中とお尻だけだった。
ベッドに入ってから、私は前夜の失敗もあったので、今度こそ(やる!)という気持ちでMの身体を触りはじめた。当然のようにMは拒絶した。
>「センセー、ダメっ!」
でも私は今度はあきらめなかった。ただ、彼女があまりに強硬に拒否するので心優しい私はすぐにめげてしまって、「またおやすみのKISSだけか……」と思った。ふと意地悪な気持ちになった私は訊いてみた。
「こんなに必死で拒否するということは・・・まだMちゃんは経験がないの?」
その時にMが見せた悲しそうな表情は今でも忘れることが出来ない。Mは私の目を見ないでこう言った。
「わたし、せんせいと別れた直後にKに抱かれたんだよ。一晩中ネチネチと言葉で責められて、もうあのときはやるしかなかったんだよ。」
私は奈落の底に突き落とされたような気分だった。ただ私の頭の中では「KはもうMとやっちゃったんだ。」という事実が駆けめぐっていた。そこで自分が「しなかった」ら、また別の局面があったかも知れない。しかし凡庸な男である私が選んだのは「自分もまたする」ことによって、Kと自分のギャップを埋めるという情けない行為だった。私はMを抱きながら泣いた。あんな哀しい気持ちで女性を抱きしめたことなど、それ以前にも以後にも一度たりともない。