江草乗の「大人の物欲写真日記」

江草乗のプライベートな日常日記です。

気づかなくて、ごめん

 大学生の時、二つ年上の女性のために自転車を組み立ててあげたことがある。大手メーカー車が定価の2割引で買えるということで、丸石から出ていた女性向けの、フレームサイズの小さいパールホワイトのヤツを買った。丸石エンペラー・ミキストだったかな。彼女は大学の寮に入っていたので、自転車の箱はその寮に送ってもらい、私は組み立てるための工具一式を持ってその寮に出かけた。ゆっくりと説明しながら1時間ほどかけて組み立てて、それから少し一緒に走った。
 その翌年の夏、私は信州に行くときにクルマのルーフキャリアの半分を明け渡して、彼女の自転車を積んであげた。
何度か自転車を分解して列車に積む「輪行」の方法を教えたが、不思議とちっとも覚えてくれなかった(T_T)
自分が何故彼女に対して恋愛感情を全く持たなかったのか、いや、相手に対して異性という感情すら持たなかったのはどうしてだろう。おそらく、自分にはずっと片想いの相手がいて、他の女性は自分にとって100%恋愛の対象外だったからという説明も成り立つ。でも、もっと大きな理由はやはり、彼女が自分の好みのタイプじゃ全然なかったからだろう。
 一度、私のクルマの中で一夜を明かしたことがあったが何も起こらず、私はただ眠り、そして朝になって起きた。もちろん手も握らなかった。普通の恋人達のするようなことは何もしなかったのだ。

 彼女はそのとき、100%私をあきらめたのだと思う。それは確信に近い。

 大学を卒業した彼女は、大手電機メーカーに入った。それから数年経って、「こんな私でもちゃんと選んでくれる人がいて、結婚することになりました」というハガキが届いた。

 私が組み立てたあの自転車は、いまはどうなったのだろう。