江草乗の「大人の物欲写真日記」

江草乗のプライベートな日常日記です。

「実りを待つ季節」 光野 桃

実りを待つ季節 (新潮文庫)

実りを待つ季節 (新潮文庫)

 作者に対して何の予備知識もなく、何気なく書店で手にとって読んでみたエッセイは、自分にとって宝物のような一冊になった。向田邦子のファンだった私は彼女の死を惜しんだが、私が愛したのはそこに描かれた古き日本の伝統を守っている家庭ではなかったか。
 この光野さんのエッセイには、日常生活の細部を観察する確かな目と、日本の家庭がかつて持っていた家族の絆を再確認できる暖かさがある。昭和30年代に幼少期を過ごしたという光野さんからやや遅れて生まれた私は、その頃の時代の雰囲気がかすかに残った日々をちゃんと覚えている。幼い頃の思い出をひとつひとつ丹念に宝石箱の中から取りだして、しっかりと確認してまたもとに戻す、そんな味わいのある読書体験だった。
 このエッセイの中心となってるのは父の思い出である。光野さんの父は彼女が25歳の時に亡くなった。その最期の場面を描いた「掌」という話は涙なしには読めない。いや、それ以外の話も、どれもせつなくて胸が苦しくなる、そんな小品ばかりである。それにしても私は
Papa told me 1 完全版 (愛蔵版コミックス)

Papa told me 1 完全版 (愛蔵版コミックス)

 もとても好きなんだが、どうして父と娘の物語にこんなに心惹かれるのだろう。

  投票ありがとうございます。(←ブログランキング投票ボタンです。10/17 21:55現在で47位です。危険水域です。どうか50位以内が守れるように毎日家と職場で2回の投票クリックをお願いします。職場で読むのは反則かも!


恋人にはマウスを贈ろうキャンペーン中!
格安価格で本を書う
個人サイトランキング投票←堂々の3位です!   江草乗にメッセージを送る