「実りを待つ季節」 光野 桃
- 作者: 光野桃
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/04
- メディア: 文庫
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この光野さんのエッセイには、日常生活の細部を観察する確かな目と、日本の家庭がかつて持っていた家族の絆を再確認できる暖かさがある。昭和30年代に幼少期を過ごしたという光野さんからやや遅れて生まれた私は、その頃の時代の雰囲気がかすかに残った日々をちゃんと覚えている。幼い頃の思い出をひとつひとつ丹念に宝石箱の中から取りだして、しっかりと確認してまたもとに戻す、そんな味わいのある読書体験だった。
このエッセイの中心となってるのは父の思い出である。光野さんの父は彼女が25歳の時に亡くなった。その最期の場面を描いた「掌」という話は涙なしには読めない。いや、それ以外の話も、どれもせつなくて胸が苦しくなる、そんな小品ばかりである。それにしても私は
- 作者: 榛野なな恵
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2001/12/14
- メディア: コミック
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