新釈「走れメロス」

　気分が滅入るときはただただ笑い飛ばせるような本を読みたいということで、書店で手にとってそのまま買ってきた一冊。さっきたちまち読み終えた。
　誰もが知ってる「走れメロス」の中の名場面を面白おかしくパロディにした作品が、なんと京都大学周辺を舞台にして描かれているのである。これはもう京大生必読書である。しかも場面はあの１１月祭である。１１月祭の京都大学周辺を舞台にして描かれる抱腹絶倒のハチャメチャの物語で、ちゃんと走れメロスの名場面を踏まえてるのだからもう最高に面白い。こういう作品というと清水義範がその第一人者だったが、彼の脱線ぶりにはまだ一線を守った部分が残っていた。しかし森見登美彦さんのパロディは原作をただなぞるだけではないのだ。原作の持つテーマを巧妙に置き換えて、友情とか信頼という問題を裏返しにして笑わせてくれるのである。読みながら何度も「どうやってあの感動のエンディングに持っていくのだろう」と悩みつつ読ませてもらったのだが、最後まで読んでやっぱり激しく笑ったのである。ぐわははははは。今年読んだ中で一番面白い本、決定！
　作者の森見登美彦さんは、私が予想したように京都大学の院生だった。はてなＩＤももっておられるようである。はてな社長の近藤氏も京大ＯＢであることだし、この私も同窓である。芥川賞作家の平野啓一郎氏もはてなダイアリーに書いてるのである。はてなはもう完全に京大勢力の支配下になったといっても過言ではない。京都大学ＯＢよ、はてなに集え！

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