父と暮らせば２０

　「父と暮らせば」シリーズをまとめて読む

　父と私は同じシェーバーを使ってひげを剃る。しかし、毎日ひげを剃らずにいる父のひげはかなり伸びてしまって、電動シェーバーではそれないような状態になるのだ。長いひげでもちゃんととらえてカットする三つ目のフィリップスのシェーバーとかを買えばいいのだが、そんなのは高い。私が使ってるのは勤務先の学園が卒業記念品で中学３年生に配っていた松下電器製のものである。それで長すぎるひげをうまくカットできない父のために、私がそれを剃ってあげることになる。こういうときに剃刀でうまく剃ってあげられたらいいのだが、残念ながら不器用な私は下手するとのど笛を切って殺してしまうことになるので、シェーバーのあの、なんというか通常使うのではなくて別の刃がついてるブルブル震えるヤツを使って、長いひげをカットする。その後で短くなったひげを普通のやり方で剃るのである。父の顔を押さえて、そしてひげ剃りをあてる。「自分でやる」という父を制止して、むりやりに私が剃るのである。そしていつも「伸びすぎる前に毎日剃ればこんなことにはならない」と付け加える。不精者の父にそうした習慣を与えることはなかなか困難なんだが。
　あともう一つの習慣は、風呂上がりの父の背中に薬を塗ることである。背中に湿疹ができているのだが、私が昔、医院でもらっていた軟膏が効くことがわかったので、それからは父が同じ薬をもらいに行ってる。父に買わせる方が１０％で済むので値段も安い。（そうして父がもらってきた薬の５％くらいは私もたまに使っている。）

PHILIPS シェーバー HQ8140 キャストメタリック

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