江草乗の「大人の物欲写真日記」

江草乗のプライベートな日常日記です。

純白の哀しみ

*[恋愛]純白の哀しみ

 私は高校生の時、同じクラスのある女生徒が好きだった。彼女が早めに登校していたことを知ると自分も早く来たり、自転車通学のくせにわざと遠回りして駅から彼女が歩く道で一緒になるようにした。ほどなく自分の好意は、告白などしなくても相手に知られることとなった。しかし、彼女は私たち共通の友人を介して、私の告白よりも先手を打って拒絶の意思表示をしてきた。「好意を告白する前に振られる」これは私の片想いの最短記録である。何しろマイナスなのだから(笑)。

 その後、私は大学に進学した。彼女はなぜか進学せずに百貨店に勤めるようになった。自分が大学生になり、相手が社会人になったという状況の大きな変化があった以上、以前と全く同じ結論ではないかも知れない。私はそこに一縷の望みをつないで、彼女の職場に会いに行くことにした。たまたま百貨店の定休日に大学の休みが重なったのでデートを申し込んだ。しかし、やっぱり断られた。

 彼女から私にある品物が届けられた。それは真っ白なハンカチだった。そこには
「さよなら。もう私のことは忘れてください」
というメッセージカードが入っていた。その白さは、自分たちの間に全く何の関わりも存在しないということの象徴だった。

「わざわざ白紙になんかしなくても、はじめから何もなかったじゃないか」

今もそのハンカチとカードは書庫の引き出しの中にある。