ベビーフット - 江草乗の「大人の物欲写真日記」

exajoe2013-05-23

　朝日新聞でこの記事を読んで迷わず注文した。

2013年5月21日
（地域発・企業発）足裏パック、世界でヒット　渋谷の企業、５００万個販売紙面で読む
「足の裏キレイにし隊」のみなさん。左から２人目が、隊長の青島舞友さん
ベビーフット
１時間はくと、かかとは…数日でボロボロ
２週間後にはすべすべに
　いまから８年前、東京・渋谷の小さな会社が、ふしぎな美容品を売り出した。かかとがガサガサになった足裏をスベスベにする――。世界中の女性の心をつかみ、累計販売は５００万個を超えた。メガヒットの「キセキ」をたどると、中小企業ならではの工夫がみえる。
　■宣伝費なく…女性目線でネット発信
　渋谷駅にちかいオフィスビルに、その会社はある。「リベルタ」（資本金約１２５０万円、従業員７１人）といい、アクセサリーや腕時計なども売る。
　ヒットした商品は「ベビーフット」、１６８０円。裸足で１時間、足の形をしたパックをはくだけ。数日たつと足裏の皮がボロボロむけ、２週間もすれば、すべすべになる。
　パックの中には、日本の協力メーカーなどと開発したジェルが入っている。成分は、リンゴ酸、オレンジ油、エタノールなど３０ほど。皮の表面にある古い角質層にジェルが浸透し、お肌の新陳代謝とともに、自然にはがれ落ちるのだ。
　ジェルづくりには、医師の助言も取り入れている。また、２００９年に、２０代から５０代の男女３０人にモニターとして使用してもらい、東京都内のクリニックで足裏の診断、検査をした。その結果、効果とともに安全性も確認している。
　通販会社をやめて１９９７年に起業した社長の佐藤透さん（４５）は、もともと水虫対策の品として売り出した。だが、薬事法の規制が厳しくなり、まもなく販売を中止した。
　０５年、足のケア商品に改良して売りはじめると、２年間で１万個売れた。「それだけでも、かなりうれしかった」
　あるとき、佐藤さんは、女性従業員たちの会話を聞いていた。話があっちこっちに飛んで、ついていけないけれど、アイデアがたくさん出てきた。よし、彼女たちにまかせよう。
　０８年、女性従業員たちによる「足の裏キレイにし隊」が結成された。佐藤さんからの指令は「愛用者を増やせ」。ただし、中小企業なので宣伝費はない。
　お金がないのなら、体をはるわ。まず、隊長の青島舞友（まゆ）さん（３０）が、じぶんの足の裏の移り変わり写真を、ホームページや商品パッケージに載せた。
　「皮がむけるのは快感よ」「自慢したいわ」「えー、恥ずかしい」
　こんな会話からさらに、隊員たちは「足裏ずるむけコンテスト」を始めた。ネット上で、皮がむけている自分の足裏写真を自慢しあう。匿名参加なので、恥ずかしさから女性を解放した。コンテストは９回をかぞえ、参加はのべ３千人を超える。
　隊は、ブログやツイッターをチェックし、使用者に「いかがでしたか」などと声をかけつづけた。売り込むのではなく、使っている人との交流に徹した。
　日本での売り上げは加速した。１１年に約８０万個、昨年が約１００万個、ことしも好調だ。
　■「日本で人気」に信頼
　この５月、イスラエルへの輸出がはじまった。これで、海外４５カ国・地域目になる。輸出先は、アジア、欧州、北中米に広がる。
　きっかけは、２００８年の秋、香港であった世界の美容業者があつまる見本市だった。足裏の映像を映すと、なぜこうなるんだと人だかりができ、商談がまとまっていった。
　ずるむけの衝撃にくわえ、海外に広がったもう一つの理由がある、とリーダーの山崎豊和さん（３５）。「それは、メード・イン・ジャパンであり、日本で売れているということです。安全で高品質だ、と信頼していただけるのです」
　海外では昨年、４０万個売れた。今後さらにモロッコや南アフリカを視野に入れ、「１５年の１００万個」を目指している。
　製品のパッケージをまるまるつかったコピー品が売られたり、ずるむけコンテストの写真を盗用されたり、といったこともある。「弁護士を通じてやめさせています。でも、うちの商品が海外で浸透したという証しだ、とも思っています」と山崎さんはいう。
　■中小企業も「奇跡」起こせる（記者の視点）
　お金がない、人がいない、人脈がない。ないない尽くしの中小企業がブームをつくるのは難しい。
　ただしそれは、インターネットがない時代まで。いま、中小企業には出来ることがある。技術や商品に自信があるのなら、ネットを使おう。ホームページを整え、ブログを更新し、ツイッターでつぶやいちゃえ。
　何も変わらないかもしれません。でも、いくつもの「奇跡」が起こっています。それもまた、事実なのです。（編集委員・中島隆）