シェールガス
書店でこの本がたくさん積んであった。東京電力が発電をシェールガスにシフトするということを昨年知ったが、その方針の正しさをこの本は示している。
- 作者: 長谷川慶太郎,泉谷渉
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2013/02/01
- メディア: Kindle版
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「シェールガス」皆さんはご存知でしたか?
恥ずかしながら、私は本書を知るまで、「シェールガス」なるものを聞いたことが無かった。
それほど日本ではこのガスのことを取り上げているメディアは皆無なのではないかと思うのだが(私が知らないだけだったらごめんなさい)、もしそうならなおさら、本書は一読の価値がある。
「シェールガス」ってなんなんだ? という方のために簡単に説明すると、シェールガスとは「シェール(頁岩)の中に含まれる天然ガス」のこと。以前から存在自体は知られてはいたが、地下100〜数千メートルの深い層に眠るシェールガスは、採取が技術的に難しかったために手がつけられずにいた。しかし近年アメリカがこれを低コストで採取する技術を確立したため、空前のシェールガス・フィーバーが当地で起こっているという。
これだけならただの外国の出来事だが、シェールガスの画期的なのはそのコストの安さ。石油火力の発電コストがおよそ10円程度、石炭火力が6,7円にあって、シェールガスは6円。しかも埋蔵量は正確な数字は分からないものの100年分とも200年分とも言われており、このコストの安さのおかげで、アメリカは現在、シェールガス社会へ向けての産業シフトを急ピッチで進めているという。
それだけでなくシェールガスからは、石油化学の代表製品であるエチレン、トリニトリルなど多くの成分を取り出すことが出来るという。石油より低コストでこれらの製品が出来るとなると、果たしてどういうことが起こるだろうか?
そして、そんなに安いシェールガスを、もし日本が輸入することが出来たら、果たして何が起こるだろうか?
本書ではそんなシェールガスが石油にとってかわった場合、アメリカ・中国・EU、そして日本はどうなるかを描き出してみせる。その詳細は是非本書を読んで頂きたいが、最近のパナソニックやシャープの凋落に日本の行く末を憂慮している方もそうでない方も、改めて日本の「隙のない」実力に感嘆することになろう(ただし、日本の問題点への言及もあるので、単純な日本礼賛ではないことは予めお断りしておく)。
同時に本書では、再生可能エネルギーの現状も報告する。原発の再稼動について今の日本は賛否両論の状態だが、そこにシェールガスという選択肢が入った場合、果たしてどういうことになるのか。代替エネルギーがないから原発再稼動やむなしという方も、今すぐ脱原発すべきという方も、いろいろ勉強になると思う。
本書を通読した感想としては、半信半疑というところだろうか。そういう意味では私も本書で指摘されているとおりの「エネルギーに関し長い間の固定観念があるので、石油社会がひっくり返るなどとはなかなか信じられない」日本人の一人かと苦笑してしまうのだが、それでもこれは最も順調にいった場合のシナリオでしかないと感じる。そういう意味で星は4つ。
でも知的好奇心を刺激される、大変面白い本には違いない。
他にこういう本も出ている。
- 作者: 伊原賢,吉田 克己
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2012/08/01
- メディア: 単行本
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