普通においしい食べ物

　平野啓一郎氏の公式ブログで「普通においしい」という表現を取り上げっていた。氏はこの意味を「普遍的においしい」という意味で使うのだと語る。実はうちの長男の口癖が「普通」なのだ。おいしいかとか、面白いかを聞くと、よく帰ってくる答えは「普通！」である。普通ということはネガティブに受け取られがちだが、でも考えればマイナスでもないわけで、日常的に食べるものなどはやはり「普通」で十分なのかも知れない。考えたら主食のごはんの味なんて「普通」そのものだし、食に関してそんなに感動的な体験を毎日積み重ねることができるわけでもない。日々はそれこそ「普通」の繰り返しで過ぎてゆくのである。「普通」であることのどこがよくないのかということになる。毎日同じようなものを繰り返し食べてる多くの人たちにとってはまさにそれらが「普通においしい食べ物」なのである。

　と・・・ここまで書いてきて矛盾するようだが、やはり私にとって、「食」というのはいつも幸福な体験であるので、そんな幸福な時間を「普通」になんかしたくない。いつも「まいうー」と思いながらいろんなものを食べたいわけである。私のサイトにある「こだわりの店」というリンク集にいれてある店に「普通においしい」店などひとつもない。そんな平凡なものはわざわざリンクさせる必要がないからだ。

　毎日更新している暴言日記「江草乗の言いたい放題」の感想が「面白い！」「今日の内容はむかつく！」「ふざけすぎで腹が立った！」などならまだいいが「普通」と言われるときっと悲しいと思う。もしも評価の言葉が「普通に面白い」ならそれは「いつもの平均点的な面白さだよ」という意味に受け取ればいいのだろうか。

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