三毛猫

　クルマで家を出てすぐのところで、道路のど真ん中に三毛猫がいた。私の車が近づいても全然どかない。そのままきょとんとした様子でこっちを見ている。私もクルマをとめて軽くクラクションを鳴らした。ネコは動かない。犬ならこういうときはどくものである。しかしこのネコは自分が女王様だと思っているのか、微動だにしない。オレは困ってしまった。仕方なくオレはクルマから降りて、ネコに近づいて「にゃあ」と言って睨んでやった。ネコは今度は私の方をじっとみている。私はそっと手を伸ばしてそのネコを抱きかかえて、少し離れた路地の方に下ろして、すぐにクルマに戻って発進させた。早く行かないとまたとおせんぼされてしまう。ネコは私の後ろ姿をきょとんとして見送るのだろうか。もしかして明日の朝もとおせんぼされていたらどうしよう。

　
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