自転車泥棒
父がしょげていた。なんでも自転車を盗まれたという。
その自転車はかなり前に、父が孫娘に買ってあげたものだ。その自転車は父にとっての孫娘(つまり私の姪)が何年か使った後、我が家にやってきて、長男の自転車になった。それをときどき父も乗っていたのだが、その父が200mほどのご近所に乗っていって、さあ帰ろうと思ったらもうなかったという。長男は「もうおじいちゃんには貸さない」と激怒している。怒るのももっともだと思う。自分の大切な自転車がなくなったのだから。父は自転車にカギをいちいち掛けないし、そもそも、ちょっと30分ほど話してる間になくなるなんて思いもよらなかっただろうから。
明日、息子を連れてコーナンで買ってこよう。
もしもその自転車を盗んだ人が、子供の自転車も買ってやれないような人なんだとしたら、そのまま乗っていればいい。恵まれない人に寄贈したと思うことにするから。もしも近所の少年が寸借したのならまたすぐに出てくるだろう。そうしたらそれを父専用のの自転車にすればいいのだから。息子も、従姉のお下がりではなく自分のを買ってもらえて嬉しいだろうし。