江草乗の「大人の物欲写真日記」

江草乗のプライベートな日常日記です。

父と暮らせば2

 証明書類をいくつか交付してもらうことになり、代理人になると委任状とか面倒なので父をクルマに乗っけて連れて行った。車高の低い私の車に乗り込むのは、老人にはかなり大変みたいで、いつも乗り降りの時にはかなり時間が掛かる。だから先に降りて、助手席側に回って手を貸して支えてあげないといけない。そうして市役所に連れて行った。市役所からの帰りに図書館も近くにあることを思い出した。それで、父に図書カードを作ってあげることにした。そうしたらいつでも借りたいときに借りることができる。父を連れて図書館に入ったのだが、父は本がたくさんあることに驚いたようだった。いつも私は、本好きな父のために、読みそうな本をまとめて借りてきていたので、父にとって図書館に来るのは初めてだったのだ。
 そこで、ゆっくりと父は借りる本を選んだ。私は自分の好きな本を探していた。しばらくたって、父は本を8冊持ってきて「これだけ借りる」と言った。それでカウンターに行って、父の貸し出しカードを作る手続きをした。そのカードを父は免許証入れのところにしまった。
 図書館から出たところにすぐ駐車場がある。そして、図書館の横には2軒の一戸建ての住宅がある。その場所ももとは駐車場だった。その場所が売りに出されて家が建つということがわかれば、私は多少高くても手に入れただろう。隣が図書館だなんて最高の場所じゃないか。
「あの家のところが買いたかったなあ」
と私は父に向かってつぶやいた。父も
「エエ場所やなあ」
と、しばらく一緒にその2軒の家を眺めた。

父の借りた本は、宮城谷昌光太宰治加賀乙彦というふうに全く脈絡がなかった。