江草乗の「大人の物欲写真日記」

江草乗のプライベートな日常日記です。

スクールカースト

 ついにこんなことが起きるようになったのか。

「下位」には、オシャレをする「権利」すら与えられない─この歪な仕組みを壊せ
「1軍、2軍、3軍」「上、中、下」で固定化…… 深刻ないじめの萌芽になる「スクールカースト」の陰湿
SAPIO 2013年4月号掲載) 2013年4月25日(木)配信
文=鈴木翔(東京大学社会科学研究所学術支援専門職員)
今、中学や高校の教室内には「見えない地位の差」がある。同学年なのに“上下”のグループ分けが出来上がり、全員がそれを受け入れる。「スクールカースト」と呼ばれるこの差別的な悪しき文化はどのようなものなのか。話題書『教室内カースト』の著者である気鋭の教育社会学者・鈴木翔氏が解説する。
 「『下』には騒いだり、廊下で笑ったりする権利が与えられていないんです」
 高校時代、自分が下位グループだったという女子学生は、生徒のグループごとに上位・普通・下位のランクがあり、ランクに応じた「権利」が決まっていたと語る。
 「下」は「上」の主張に異議を唱えられない。授業中にいきなり先生に話しかけていいのは「上」だけ。行事などの準備が面倒くさければ「上」は帰れるけれど「下」はダメ……。そんな暗黙のルールがあるという。
 「下」が廊下で騒いだりすれば「上」から目を付けられ、教室内でお喋りをするなどの「今ある些細な権利」すら奪われかねなかったと、この女子学生は振り返った。
 同学年で対等なはずなのに、「あの子たちは『上』で、あの子たちは『下』」という序列を生徒たちが認識・共有する。これを「スクールカースト」と呼ぶ。2000年代後半に教室内で下位グループだった子供たちがインドのカースト制度になぞらえて鬱積する不満をネット上に書き込んだことで広まった言葉だとされる。
 彼らはクラス内でお互いのグループを「1軍、2軍、3軍」「A、B、C」などと呼び合う。
 なぜこうした現象が起き、生徒たちは序列を受け入れるのか。私は2年前に神奈川県の公立中学23校の協力を得て当時の中学生にアンケート調査(有効回収数2874名、有効回収率83・2%)を行ない、大学1年生10名に中高時代についてインタビューした。そして今もこのテーマで聞き取り調査を続けながら、目に見えないスクールカーストの実態を追っている。
 昔から教室内に力関係はあったと思われるかもしれないが、質が異なる。スクールカーストは、昔とは地位の決定基準が異なる。そしてそれによって周囲から見えづらく陰湿な支配─被支配の関係が成立している。
 80年代頃までは「ケンカが強い」「勉強が出来る」といった生徒が一目置かれる存在だったと考えられる。大人からも把握しやすい基準だった。だが、調査した結果、今の基準は違っていた。例えば、「上」とされる要素には、「容姿」「運動部レギュラー」といったことに加え、「話が面白い」「ノリがいい」「異性ウケがよい」といったコミュニケーション能力の高さが挙げられた。「下」はその逆で「大人しい」「目立たない」などが条件となる。
 ケンカする機会も減り、勉強が出来ていい大学に入っても就職が覚束ない時代となった。生徒にとって価値ある能力が分散して見えづらくなった上に、教育現場でも「生きる力」「人間力」「問題解決能力」など、社会を生き抜くための力とされるものが重視されるようになった。そうした変化を生徒たちも感じ、ランク付けの基準の変容に繋がっていると考えられる。
 ランクはグループごとにつけられる。修学旅行の部屋決めや文化祭の班決めで、余った「下」のメンバーについて、「上」のグループ同士がじゃんけんして負けたほうが引き取る、といったかたちで階層は確認、固定化されていく。
 スクールカーストの陰湿な点は、地位の差がいわゆる「購買でパン買ってこい!」といったシーンのように露骨に表出しないところにある。だから教師ら大人には把握しづらい。聞き取り調査では、「下」が「上」の反応を“予期”して行動していることがわかる。
 例えば、放課後の掃除は雑巾がけや箒、机移動など分担作業で、教師から見ればそれぞれ自らやっているように映る。しかし、つらい真冬の雑巾がけは、下位グループの生徒が引き受ける。「お前が雑巾をやれ」と「上」から指示されるわけではなく、あくまで自発的に、自分の役回りであることを予期してやるのだ。女子高生の場合、化粧する子も少なくないが、「下」は自分が化粧して「上」から目をつけられないかを考え、相応しくないと判断すれば、したくてもやらない。
 何か行動を起こす際に不利益になる可能性を予期する人たちがいることによって、強い権力構造が成立する。スクールカーストでは、「上」の顔色を窺い、「下」の生徒はやりたくないことでも進んでやるようになる。“地位”に見合った行動を取るようになるのだ。
 努力しても序列の逆転は不可能に近い。クラス替えを契機に「イケてるキャラ」に変わろうとしても学年で情報は共有されていて、すぐバレる。そもそも、一生懸命努力することはカッコ悪いという意識があり、キャラを変えようと容姿に気を遣って“イメチェン”に必死になる姿は嘲笑の対象とされるのだ。
 教室内の上下関係は歪な力関係として浮かび上がる。
「上」が「マジ、おまえムカつく」などと言うと「下」のランクはさらに下がる(「下」の中にも「下の1軍、2軍、3軍」といったランクがあると証言した者もいた)。「上」は教室内の“人事権”を掌握しているのだ。
 最近ではネット絡みの事例も多い。例えば、「リアルに鍵をかけられる」という証言が複数あった。
 これは主に中学生の間で流行したネット上に自分のプロフィールや日記を公開する類のサイトに絡んだ表現だ。そうしたサイトの中には「リアル(リアルタイムブログ)」と呼ばれる日記サービスがあり、パスワードを設定すれば閲覧制限がかけられる。クラスメート内は閲覧を許された人と弾かれた人に分けられ、さらにパスワードが定期的に変更される。それまで「上」の生徒のリアルを見られたのに、変更後のパスワードを教えてもらえない(=鍵をかけられる)。するとその生徒は「普通」から「下」へと身分が下がったと認識するのだという。当然、教室内でリアルにアップされた内容が話題になってもついていけなくなる。
 些細なことのようにも見えるが、大人には見えないところで「いじめの端緒」が開かれていると考えれば深刻だ。「いじめられても仕方のない子がいる」と考える生徒は少なくない。その場合、「仕方のない子=スクールカースト下位の子」と考えられる。
 いじめの萌芽と見えるような事例もあった。女子生徒の多くが持つ、「プロフィール帳(友人の自己紹介などを書き込んでもらうノート)」を巡って、「上」の生徒が「下」の子に「書いて」と頼み、その子は嬉しそうに書き込んだ。書き終わったところで「上」の子がそれをゴミ箱に投げ捨て、教室全体が笑いに包まれた、という事例を語った者がいた。その話は「上」に属する生徒がしていたため「みんな笑っていたし、教室を和ませようとやったこと」と振り返った。しかし教室全体が空気として受け入れても、「下」の生徒の自尊心は傷つけられる。差別的な扱いがあってよいはずはない。そもそも「上」「下」は合理的な理由で分かれているわけではまったくない。教師や親は個別事例について「些細なこと」と片付けず、その背後に構造的で深刻な問題があると認識してケアすることが必要だ。

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