JR江差線
田舎の人たちは、それが実は貴重な財産であることに全く気がついていないのである。だから北海道の鉄道はどんどんなくなってしまったのだ。もったいない話である。工夫すれば十分に黒字にできたのに。
<JR江差線>「廃止前に乗りたい」 異例の混みように
毎日新聞 11月11日(日)13時5分配信
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1両編成の列車に乗り込む鉄道ファンや家族連れ。廃止が表面化後、乗客は大幅に増えている=JR江差線江差駅で2012年10月27日、近藤卓資撮影
利用客低迷のため、JR北海道が江差(えさし)線の木古内(きこない)−江差間(42・1キロ)の14年春の廃止を提案してから2カ月。以前から予想された事態で、沿線の木古内、上ノ国、江差の3町は冷静に受け止め、了承する方針だ。ところが、ここにきて、にわかに利用客が急増。「なくなる前に乗っておきたい」と、大勢の鉄道ファンや旅行者が訪れている。【近藤卓資】
◇ファンや旅行者が急増
土曜日の10月27日午前11時48分、木古内駅を発車した1両編成のワンマン列車には29人が乗車した。同駅によると、「数人」が常態化していた同区間にとっては「異例の混みよう」だという。カメラを持った鉄道ファンとみられる男性のほか、家族連れもいる。
列車は山間地に入り、モミジが車窓に広がる。5歳の長男と乗車し、ビデオカメラで車内や風景を撮影していた札幌市北区の主婦、森崎貴子さん(39)は「ローカル線が好きで来ました。景色が素晴らしいし、沿線の寂れた感じもいい」と興奮気味。休暇で名古屋市中区から来た山岡孝生さん(35)は「これだけ乗っていれば、存続できたのでは」と残念がった。沿線の撮影スポットにはアマチュアカメラマンが並び、シャッターを押した。
同区間に10駅あるうち有人駅は木古内、湯ノ岱(ゆのたい)、江差の3駅だけ。無人駅のほとんどは1日の乗降客が10人以下だという。列車は発車から約70分後、江差駅に到着した。改札では入場券を求める人が並んだ。一人で20枚近く求める鉄道ファンもいるという。
帰りの列車にもほぼ同数が乗った。部活動のため、年30回ほど利用するという上ノ国中2年の小野亮太さん(14)は「前は僕しか乗っていないこともあったので驚いている。列車のほうがバスよりゆっくりできるので後輩のためにも残してほしい」と訴えた。
◇沿線3町、バス化に支援確約求める
江差線木古内−江差は1936年に開業した。檜山(ひやま)地方の木材や海産物の輸送などでにぎわった時期もあるが、沿線地域の過疎化や自家用車の普及が進行。80年に急行がなくなり、82年には貨物も廃止された。
87年のJR北海道発足後も1日6往復の運行を続けたが、乗客の減少は続いた。輸送密度(1キロ当たりの1日平均利用者数)は2011年で41人にとどまり、87年の6分の1以下。輸送密度の採算ラインは約8000人とされ、道内で最も利用者が少ない路線だった。10年度は約1600万円の営業収入に対し、20倍以上の3億2800万円の経費がかかった。
また、同区間と接続している江差線木古内−五稜郭間(37・8キロ)が15年度の北海道新幹線開業時に第三セクター鉄道に移行するため、JRの線路から分断された「飛び地」となることも考慮された。
JRは9月の地元説明会で沿線3町に廃止を正式に提案。3町は代替交通手段の確保への協力などを条件に受け入れる方針だ。現在、町長らの対策協議会が地元業者によるバス路線の運行を検討。運行で発生する地元負担などに対してJRから十分な支援が得られることが確約されれば正式に承諾する。
廃止が決まれば95年の深名(しんめい)線(121・8キロ)以来となる。
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◆JR北海道発足以降の道内廃止線区◆(私鉄は除く)
路線 区間 距離 年月
幌内線 岩見沢−幾春別 18.1キロ 87年7月
松前線 木古内−松前 50.8キロ 88年1月
歌志内線 砂川−歌志内 14.5キロ 88年4月
標津線 標茶−根室標津 69.4キロ 89年4月
〃 厚床−中標津 47.5キロ 〃
天北線 南稚内−音威子府 148.9キロ 〃
名寄線 名寄−遠軽 138.1キロ 〃
〃 湧別−中湧別 4.9キロ 〃
池北線 池田−北見 140.0キロ 89年6月
函館線上砂川支線 砂川−上砂川 7.3キロ 94年5月
深名線 深川−名寄 121.8キロ 95年9月
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