江草乗の「大人の物欲写真日記」

江草乗のプライベートな日常日記です。

事業仕分けで失われたモノ

exajoe2012-03-26

 アジアからの留学生を増やすということは、日本の成長戦略に不可欠である。しかしその大切なことは民主党政権によってないがしろにされてしまっていたのである。日本の将来にとってこれがどれほどマイナスだろうか。

エリート留学生寮事業仕分け
漂流するグローバル人材獲得政策
123452010年、民主党が実施した事業仕分けによって、東京・お台場にあるエリート外国人留学生寮の廃館がひっそりと決定した。政府は新成長戦略の中で「留学生30万人計画」を掲げておきながら、この3月までに国費留学生などの外国人を国営寮から追い出すという、矛盾した愚行に出ようとしている。
「運営は大学に任せるべき」と民主党が言い放った東京国際交流館。入居者が所属する28大学に問い合わせると、「大学単独では限界があり、国のサポートあってこそ」との意見が殺到した
Photo by Toshiaki Usami 東京都江東区お台場。東京湾に面した閑静な埋立地に、4棟から成るガラス張りの近代的な建物が鎮座している。文部科学省所管の独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が運営する留学生寮東京国際交流館」だ。
 2010年12月、JASSOから届いた一通の通知が、関係者に大きな衝撃を与えた。
「12年3月末をもって、この施設は廃館となります」
 ここに住んでいるのは、主に東京大学政策研究大学院大学早稲田大学など国内の一流大学に国費で留学しているアジア・中東諸国の政治家候補や官僚、あるいは日本の優良企業に就職するエリートばかり。01年の設立以降、約5200人ものOB・OGネットワークが世界70ヵ国以上に広がり、多くの各国政府高官やグローバル人材を輩出してきた。
 高度人材の獲得競争が世界で激化する中、世界中の優秀な大学院生や研究者に質の高い生活や交流の場を提供すべく、国策の一環として政府が設立した経緯があり、欧米諸国にも引けを取らない国内随一の留学生受け入れ施設だ。
 それほどの重要施設にもかかわらず、民主党事業仕分けにおいて「国でやる必要はない」と判断、ひっそりと売却が決まったのだが、その後も買い手が付かず廃館となり、900人もの全入居者に3月までの退去を命じたのだ。
「日本の国際化を推進するためにも、この施設が必要です」
 あわてたのは、危機感を持った世界中の“知日派”OB・OGたち。こうした存続を望む署名が続々と集まり、さらには現在の入居者らも知恵を絞って、施設の“増収策”までつくり上げた。
 そうした活動が奏功し、政府も一転して1月20日、土壇場で猶予期間を与えることを閣議決定。4月からの2年間だけ、JASSOから各大学が居室を買い取る形で運営を続けることを認めた。
 ところが、である。退去を免れて入居者が胸をなで下ろしたのも束の間、今度は財政的に厳しい複数の大学が買い取りを辞退。そこでJASSO側は、買い取りが難しい大学の居室分のみ、引き続き自主運営することにしたのだ。
 これには居室を買い取ることを決めていた大学も猛反発。正直者がバカを見るとあって、「一部の大学だけ費用負担が不要というのは不公平。うちも買い取りません」などと申し立てたのだ。
 結局、3月14日時点で4月以降の運営方法が決まっておらず、入居者は不安を隠し切れない。挙句の果てに、廃館騒ぎのごたごたで新規募集もせず空室だらけとなり、事業仕分けの対象になったことでかえって赤字が膨らみそうだ。
留学生の受け入れ目的は“知日派”エリートの育成
 そもそも01年にこの施設を設立した背景には、2000年以降、世界各国が優秀な留学生を積極的に受け入れ始めたことがある。
 高度な知識や技術を持つ人材の獲得が今後の国力を左右する、との認識がどの国にもあるからだ。米国がIT技術者をインド・中国からの移民や留学生に頼ってきたことはよく知られている。
 日本の場合、「英語圏ではない」ことが留学先として選んでもらう上では大きな壁となる。そこで、「せめて交流・受け入れ施設だけでも充実させよう」(大学関係者)との意図で、この施設が設立されたのである。
 日本の産業界も、最近になって優秀な留学生の採用に力を入れつつある。経済産業省が国内企業を対象に08年に実施したアンケートによれば、「日本国内で高度な外国人材の採用を行っている」と答えた企業は68.1%にも上る。
 国として留学生を受け入れるのは、何も国内企業によるエリート留学生獲得のサポートのためだけではない。“知日派層”を育成するためでもある。
 外交戦略の一環として、国費を投じて世界各国のエリートたちを呼び寄せ、自国の「よき理解者」となって帰国してもらうのだ。米国や欧州各国、オーストラリアといった“留学生受け入れ先進国”でも、こうした意義を認識し、戦略的な対策を講じている。
 昨今では、中国やシンガポールなどの“留学生受け入れ新興国”も数値目標を掲げており、まさに高度人材の獲得競争が世界中で激化しているのだ。
 日本もようやく08年、「留学生30万人計画」をぶち上げ、政権交代後も民主党は「新成長戦略」にこれを盛り込んだ。
 実際、この交流館はこうした目的に適っていた。直近の留学生は帰国後、欧州議会、インドの財務省、韓国の公正取引委員会国税庁ベトナムの外務省や内務省、モンゴルの財務省ウズベキスタン中央銀行など、世界各国で錚々たる地位に就いており、知日派を数え上げればきりがない。
 確かに、家賃は単身用20平方メートルで3万5000円、研究者などの家族向け80平方メートルの部屋でも9万7500円と安い。これでは土地の定期借地料を支払うと赤字になるため、国費で賄ってきた。
 しかし、事業仕分けによって浮くことになるこの国費は、年間わずか1億7000万円程度しかない。当の入居者側は自ら家賃の値上げを提案しており、国費負担分はさらに少なくなるはずだ。
 文科省や外務省は、東日本大震災の復興予算である11年度第3次補正予算において、外国人学生の一時的な来日の関連経費を合計74億円も“便乗計上”している。原発事故への不安などで留学生が減ることを懸念したためだ。
 そんな一過性の巨額予算が付く一方で、約10年かけて築き上げてきたエリート知日派ネットワークという“財産”に対してはわずかなカネも払えないというのだから、政策の一貫性の欠如も甚だしい。

実態を知らない文科省仕分け人に反論できず
「日本人もいるんですか?」
 廃館決定後、猶予を決めるまでの一連のやり取りの中で、文科省担当者の一言に入居者たちは凍り付いたという。
 実はこの施設では、2度の面接を経て入居可能となる日本人大学院生が入居者の1割を占めており、来日したばかりの留学生への生活サポートや、交流イベントの企画・運営などを担っている。ここで刺激を受けて海外留学を決めた日本人学生も数多くいる。
 だが、「留学生30万人計画」の中心を担う文科省担当者が、こうした施設の実態すら把握していなかったというのだから、呆れるほかない。
 運営主体のJASSOも、「文科省に詳細を報告していなかった」(関係者)だけに責任の一端がある。留学生寮を所管・管理する側がこの体たらくなのだ。
 事業仕分けの議場では、議員や民間有識者から、「一部の留学生だけに国費を投入するのは不公平ではないか」などの意見が出た。これに対し文科省の高官たちは、この施設の果たしてきた役割すら全く説明できなかった。遅まきながら今になって、ようやく事の重大性を認識し始めているありさまだ。
 もっとも、受け入れ施設を充実させるだけで、留学生がどっと日本に押し寄せてくるとは限らない。
 学生に占める留学生比率が3割と米国を上回る英国は、留学生招致のボトルネック奨学金制度にあると分析し、ここに予算を集中投下して実績を挙げてきた。そもそも日本では、文科省や外務省がこうした分析を基に予算を投下してきた形跡はない。
 猶予が与えられたとはいえ、交流館は2年以内に再度、売却先を見つけなければならない。国費を投じて培ってきた貴重な“財産”を放り出すようなら、日本の国際競争力はますます低下しかねない。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史)

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