ワイドショー

　平塚のアパートで５遺体が発見された事件をワイドショーでやっていた。すべての鍵を握ってるとされる岡本千鶴子容疑者５４歳に関する周辺人物の人の話がいろいろとでてきたが、そこに至る陰惨なストーリーを思うと、なんともやりきれない気持ちになる。そして容疑者が働かないでいられたのは生活保護を受けていたからだということにも。働くためには何らかの社会性を身につけないといけないわけで、その結果社会に人はつなぎとめられるのだが、他人の財産を食いつぶすという生き方を選択した人間は、財産だけではなくて他人の人生もまた食いつぶす対象でしかないのか。
　状況証拠から推測できるストーリーはこうだ。どうもこの岡本千鶴子容疑者は昔の愛人の息子である２０歳年下の山内峰宏さんと男女の関係にあったように思えるのである。そのことで山内峰宏の母親（当然母親から見れば千鶴子は夫の愛人だから憎い相手である）は息子を家から追い出し、アパートで自立した峰宏は千鶴子と同居をはじめる。そこには千鶴子の娘である利加香も居たわけで、狭いアパートで自分の母親とその恋人の交歓を見て育った思春期の娘はどう感じただろうか。しかもその部屋にはおそらく千鶴子が殺したと思われる３個の死体が存在したわけである。つまり、峰宏と利加香にとって、そこに死体が存在するということは生活の大前提だったわけだ。
　死体と一緒に暮らすことなど、私には想像できない。その家族が共有していた闇を解明することはもはや不可能だ。千鶴子が真実の物語を語るとは考えられないからである。

　
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