勉強がわからないということ - 江草乗の「大人の物欲写真日記」

exajoe2011-06-05

　参考書や問題集があれば、勉強は一人でもできる。そこに書かれていることをきちっと理解して、そこにある練習問題を自分で解き、その答えや正解に至る過程が合っていればそれでＯＫである。数学や理科といった科目でも自分でやれるはずだ。
　確かに教え方のものすごく上手な教師に出会えて、数学や理科を習うことができればかなり楽だろう。しかし、それは「楽」というだけである。どんなに教え方の上手な教師であっても、やる気のない者や、はるかに低学力でどうしようもない生徒にまで理解させられるわけではない。また、世間の多くの生徒たちは「普通の教師」に習っているのである。教え方のものすごく上手な教師というのはそうそういるものではない。私も恥ずかしながら世間で言う「普通の教師」の一人なのだと思う。傲慢にも「オレの教え方は最高だ」などと言うつもりはない。
　自分が学習内容を理解できない理由は必ず自分の中にある。その内容を理解するために必要なより基礎的なことを理解していないとか、「ちゃんと聞いている」といいながら実はちゃんと聞いていなかったとか、ちゃんとノートを取ってるといいながらそれは学習内容を理解しているのではなくてただの手の運動であり単なるコピペであったとかである。
　生徒に宿題を出すときに、休み中などの長期間の場合は解答をつけることが多い。その解答をみながら生徒は後で答え合わせをするのだ。しかし、その宿題の範囲で試験をやると、宿題はちゃんと完成しているはずなのに（だって提出されたのを確認したのだから）試験は全然できていないことがある。その宿題はいったい何だったのか。
　宿題のプリントをきれいに完成させることが目的ではなく、その中味を理解して頭にたたき込むことが宿題の目的なのだ。しかし、多くの生徒は、きれいにプリントの空欄が埋まればそれで「宿題をやった」と思い、「ちゃんとやってるのになんで成績が上がらないのか」と文句を言う。それは「勉強」じゃなくて「作業」なんだよ。「作業」は１０００時間やっても無駄だ。しかし、世間にはその「作業」を勉強と勘違いして、何千時間も作業をしている者や、予備校で何年も作業をしてる者が居る。
　それだけの作業に耐えうる忍耐力があるのならば、別に受験勉強などしなくてもいい。手に職をつけてその作業能力を活かせばいいだけである。
　私がこの世で一番情けないと思う人間は、自分が勉強できなかったことを教師のせいにするタイプの人たちだ。なぜそんな大事なことを「○○の教え方がアカンかったから志望校に落ちたんや」と笑って言えるのか。その志望校に入ると言うことが絶対に譲れない自分の目標であったならば、なんとかしてわかるようになるための努力をすべきではなかったのか。「○○の物理がわからんかったから理系あきらめた」とか「○○に数学習ってもさっぱりやったから文系にした」とか言う生徒たちに私は言いたい。おまえの目標はたかがそんな理由であきらめられるほど情けないものだったのかと。絶対にそれをわかりたかったのならば、必死でわかる方法を模索すべきじゃなかったのか。「あいつに習っていたらあかんわ」という逃げ口上は、自分のふがいなさを他者のせいにしている卑怯な言いぐさだとしか思えないのだ。
　私が高校時代に習った教師の中には、教え方の上手な教師も下手な教師もいた。それは事実だ。しかし私は自分がわからないとき、決してそれを教師のせいにしなかった。わからないのは自分がちゃんと努力しないからだと思い、それをわかることが大学受験のために必要ならば、努力してわかるようにならなければならないと思っていた。
　日本史の試験前に「明智光秀、明智光秀、明智光秀・・・」と何度も紙に書いて手で覚えさせようとしてる生徒を見たことがある。きみがやってることは「作業」であって「勉強」ではない。その「作業」を勉強と勘違いして時間を無駄にしている受験生がどれほど多いことだろうか。

　ということを書くと必ず私のこの意見に対して「それは優等生の論理だ」とか、「世間にはいくらやってもできない生徒が居る。そんな子はどうしたらいいのか」などと反論される。しかし、やってもできない生徒はそもそも勉強に向いていないのだし、もしもこの世に「劣等生の論理」というものが存在するとしたら、それは努力できない情けない人間が自分を正当化するためにあみ出した詭弁なんだろうと思うのである。そんなこと考えるヒマがあればまともに勉強しろよ。
　　　　　
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