お花見

　開花は早かったが、その後で冷え込んだので花の時期が長くて、おかげでちょうどこの週末がお花見のちょうどいいタイミングになったのである。どこもかなりの人出である。そしてどこも同じようにシートで場所取りをして、バーベキューの道具を持参したりとどこもみんなにぎやかなのである。浜寺公園は無料大バーベキュー場となるので、前のＲ２６を走るだけで肉の焼ける香りがしてくる。
　車で走るだけでいたるところに桜が咲いている、これが春の風景である。
　桜の花の下を歩きながら、毎年こんな風景を楽しめる国に自分が生まれたことをなんだか幸せなことに思うのである。
　桜に関する和歌で有名なのはやはり、西行法師の

＞願はくは花の下にて春死なむその如月の望月のころ

　である。でも私は同じ西行でもこちらの和歌が好きだ。

＞花見ればそのいはれとはなけれども心のうちぞ苦しかりける

　桜の花を見ると、特に理由は無いのだがなんとなく心の中が苦しくなる。あの西行も自分と同じそんな不思議な感情を持っていたのかと。醍醐寺の巨大な枝垂れサクラを初めて見たときの私の気持ちは美しさへの感動ではなく、むしろ恐怖や不安だった。なんと不気味な古木だろうかと思ったのである。

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