阪倉篤義先生の思い出
京都大学といえば単位のとりやすい大学として名高い。楽勝科目(楽に単位が取れる)以外に必勝科目(必ず単位が取れる)というのもあった。たとえば3田と言われた浮田、熱田、作田教授のお三方は楽勝科目だった。あと、必勝科目というと政治学(宮本盛太郎教授)が有名で、「授業を受けた人のための問題」「やむを得ない事情で出られなかった人のための問題」のいずれかが選択だった。私はもちろん後者だ。
しかし、すべての単位が取りやすいというわけではなかった。
単位取得が困難で恐れられてる教官も少なからず存在したのだ。そのうちの一人が阪倉篤義教授だった。その下駄のように巨大な四角い顔は圧倒的な威圧感で学生たちを恐慌に陥れた。しかし、私は無謀にもその科目を選択したのだ。阪倉先生は「近代文章史」を教養部で講義しておられた。1979年のことである。近代のさまざまな文学作品をその文体から味わうという内容である。
私は一年間その授業を一度も休まなかった。そしていつも最前列で必死でノートをとっていた。単位取得難易度S、うっかり選んだら後で後悔するというその科目は問題もまたヘビーであり、予告なしのテストもたびたびあった。東海散士の「佳人の奇遇」が授業で紹介されたあと、英文を雅文に翻訳しろという問題が試験に出てのけぞった。
学年末にもらった成績表で、阪倉先生の近代文学には「優」がついていた。ちなみに一度しか講義に出ないで試験を受けた政治学は「可」だった。阪倉先生、私のような難儀なヤツに「優」をくれてありがとう。

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