江草乗の「大人の物欲写真日記」

江草乗のプライベートな日常日記です。

父と暮らせば38(白鷺公園花菖蒲)

exajoe2009-05-29


 「父と暮らせば」シリーズをまとめて読む

 クルマで10分ほどで行ける、白鷺公園の花菖蒲を見せるために父を車で連れて行った。
 まだまだつぼみのものが多かったけど、それでもかなりきれいに咲いている。駐車場も無料だし、もちろん公園の中に入るのも無料だ。公園内では犬の散歩をさせている人がかなり多い。それにしても花菖蒲、どうしてこんなに種類が多いのだろうか。
 花菖蒲には江戸系、肥後系、伊勢系、長井古種と基本は4系統あるということである。正岡子規の短歌に出てくる「一初(いちはつ)」も花菖蒲の仲間である。カキツバタももちろんこの仲間に含まれるわけだが、アヤメ科というのはかなり範囲が広いようである。
 京都の北、上賀茂神社の近くにある太田神社はカキツバタの自生地で有名だが、昔は日本の至る所でこのカキツバタも自生していたはずである。伊勢物語の「東下り」のくだりでは、業平たちの一行が三河の国、八橋というところで「かきつばた」の五文字を句の上に詠み込む場面がある。

 突然、父が立ち止まってずっと何かを観ている。その視線の先には大きな鳥がいた。これはなんという鳥なんだろうか?アオサギだろうか?専門家の方にぜひお答えをいただきたいのである。白鷺というのは全身が真っ白なものをさすらしく、ここにいたのは黒い色がまじるのできっと違うのだろう。
 公園はほとんど人がいない。土日ならもっと大勢の人が来ているのだろう。しかし、たくさんの人が来ればきっと無料駐車場もいっぱいになってしまう。そう考えれば今日みたいな平日に来るのが一番だろう。遊ぶ子どもも来ていないし。

 ちょっと花の名前の看板が光ってしまってきちっと文字が読めないが、これは「鷹の爪」という品種である。花の形がちょっと面白かったので撮ってみたのである。花菖蒲の花の色は基本はこのような紫と白なのだが。他に黄色と真っ白がある。紫の淡いモノ、濃いモノ、白と混じったモノなど微妙に違う花が無数にあって、それぞれちゃんと典雅な名前がついている。
 公園をゆっくりと一巡りして歩いたのだが、父が言うには「サカナが居ないのか、鳥の餌がないのか・・・」つまり、コンクリートで護岸を固められたこの池には、本来棲息すべき生き物が極端に少ないのである。カエルとか水生昆虫とかがもっといてもおかしくないのに全然居ない。つまり生態系としてはまるで形をなしていないのである。これは堺市の公園すべてに言えることかも知れない。大仙公園の池もそういう感じだった。その方が公園管理者にとっては都合がいいのだろうか。
 家に閉じこもってテレビを見ている毎日の父を連れ出して、適度に歩かせる。そしていろいろと話す。クルマの中というのは話をするのにちょうどいい。なぜクルマの中がいいかというと、最近耳が遠くなった父に話すには大声で話さないといけないので、家で大声で話してると息子たちや妻がうるさがるのである。それでこうして連れ出した時に話ができるのだ。ボケ防止にはやはり頭を使わせないといけない。父型の伯母が認知症になってしまって今は施設に入っているのだが、その原因は近所の老友たちがどんどん鬼籍に入って、話し相手がなくなっていったことだった。私の勤務先からさほど遠くなかったので何度か帰宅途中に伯母の家に寄ったことがあったが、そのときに「テレビを見てても筋がわからなくてドラマはもうあまり観ない」と言っていたことがあって、その萌芽だったのかと今にして思うのである。

 この白鷺公園の菖蒲園、父に見せたいと前から思っていたので、今日はやっと念願が叶ったのである。