江草乗の「大人の物欲写真日記」

江草乗のプライベートな日常日記です。

国境の南・太陽の西

 「ねぇ島本さん」と僕は言った。「君がいなくなってから、僕はずっと君のことを考えていたんだ。約半年間だよ。六ヶ月近く毎日、朝から晩まで僕は君のことを考えていた。考えるのはもうやめようと思った。でもどうしてもやめることができなかった。そして最後にこう思ったんだ。僕はもう君にどこにも行って欲しくない。僕は君がいなくてはやっていけない。僕はもう二度と君の姿を失いたくない。しばらくのあいだなんていう言葉は二度と聞きたくない。たぶんというのも嫌だ。僕はそう思ったんだ。しばらくのあいだ会えないと思う、と言って君はどこかに消えてしまう。でも本当にいつか君が帰ってくるのかどうか、そんなことは誰にもわからない。確証なんて何もないんだよ、君はもう二度と戻ってこないかもしれない。僕はもう君に会えないまま人生を終えてしまうことになるかもしれない。そう思うと、僕はなんだかやりきれない気持ちになった。僕のまわりにある何もかもすべてが意味のないものに思えた」
                     (『国境の南・太陽の西』 村上春樹) 



  疲れてどうしようもない時に、そっと好きな本を読み返してみる。

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